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世界のバレエ界の大スターだったロシア国立ワガノワ・バレエアカデミー学長のニコライ・ツィスカリッゼ氏(元ボリショイ劇場バレエ団プリンシパル)が、バレエ・コンクールに関して、とても示唆に富んだ話をしていますので、ご紹介いたします。(2018年4月、モスクワのタネ―エフ記念子供音楽学校での生徒・父母・教職員たちとの対話集会から)
「最近、子供をコンクールに参加させることに夢中になる母親が多くなってきていますが、コンクールで賞を取ることは、将来、プロの世界で成功することを約束するものではないということを、はっきりお伝えしたい。
ワガノワには、毎年、数十倍の厳しい競争をくぐりぬけて、バレエの才能があると見込まれた子供たちが入学してきますが、それでも、彼らがプロの世界で活躍するダンサーになっていくかどうかは、全くの未知数です。
ワガノワでは、マリインスキー劇場バレエ団やミハイロフスキー劇場バレエ団の子役として生徒たちを出演させることがしばしばあります。出演した生徒の母親たちは、あれこれのバレエ公演に出た、出たと、あたかも、自分の子供がいっぱしのバレエダンサーとしてキャリアを積んでいるものと勘違いしてはしゃいでいますが、そのような母親たちには、はっきりと言っています。「子役は、才能の有る無しではなく、背丈だけを唯一の基準にして、出演する子供たちを選んでいます。」と。
学校は、生徒を教育するところであり、生徒にダンサーとしてのキャリアを作るところではありません。コンクールに出るのはバレエの勉強をすること(学校でレッスンをすること)とはまったく別のことです。
卒業証書には「バレエ・ダンサー」の資格を授与すると記載されるだけで、あれこれのコンクールでこれこれの賞を取ったなどというコンクール歴は一切書かれません。
全幕の中で役を踊ることが本当のバレエであって、コンクールでヴァリエーションを踊ることは、それとはまったくの別物です。ですからコンクールで一位になった若いダンサーが、全幕の主役やソリストの役を踊れないことがしばしばあります。
私のところには、コンクールでたくさん賞を取っているので是非見てほしいという子供を親御さんが連れてくることが時々ありますが、レッスン(これが唯一の判断基準)をさせてみると「これで一体どうやって一位になれたんだろう?」と唖然とさせられることがしばしばです。
劇場がダンサーを採用する時にバレエ団の幹部たちが見るのは、どんな役を踊れるダンサーなのか、バレエ団にふさわしい能力とレベルがあるかどうか、というのが唯一の基準であり、どんなコンクールに出てどんな賞を取ってきたか、などということは全く関係がありません。
ダンサーとしてのキャリアは、学校を卒業してバレエ団に入団してから、与えられた数々の役をどのように踊ったかという結果の積み重ねであり、それがダンサーの評価のすべてです。
本当にプロのダンサーを目指すのであれば、子供時代・学生時代のコンクールでの成功などで終わってはいけないのです。」
日本では、バレエをやっている子供や母親たちの間に、コンクールで良い成績を収めなければプロのバレエダンサーになれない、という迷信が根深く浸透しており、それが日本のバレエ教育をゆがめている一つの大きな原因になっていますが、プロのバレエダンサーを目指している若い人たちには、このニコライ・ツィスカリッゼ学長のアドバイスを良くかみしめていただきたいと思います。
スタジオの主宰者で元モスクワ・バレエ・アカデミー教師の中川三千代がワガノワ・メソッドの基本を分かりやすく解説しています。正しいワガノワ・メソッドの基礎が身に付いているかどうか、この動画で判断してください。
SBA創立20周年記念コンサートのハイライト動画をアップしました。
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