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間違いだらけのポワント選び

間違いだらけのポワント選び

 ソフィア・バレエ・アカデミーでは、毎年「ポワントを履きこなそう!」というタイトルのオープンクラスを実施していますが、外のスタジオからの受講生たちを見ていると、足に合ったポワントを履いている生徒はほとんどいないことに驚きます。正しいポワントでの立ち方ができていないので、ポワントできちんと踊ることもできません。言うまでもなく、ポワントはバレエダンサーにとっては、とても大事なものです。ここでは、足に合ったポワントの正しい選び方から、ポワントの手入れまでを詳しくご説明いたしましょう。(ソフィア・バレエ・アカデミー主宰者 中川三千代)

ポワントを履くための条件

 ロシアのバレエ専門学校では、1年生(10~11歳)の初年度からポワント・レッスンをします。それは数十倍の競争率をくぐりぬけてプロを養成する専門学校に入学してきた子供たちが、プロのバレエダンサーに成長するための最低限の身体的条件を備えているからです。

 その最低条件、つまり、ワガノワ・バレエ・アカデミーなど、ロシアのバレエ専門学校の入学試験に合格するための身体的条件とは、下記のようなものです。

①柔軟性のある体(柔らかいだけでなく、収縮性のある筋肉と筋力)

②股関節の開放度

③アキレス腱の収縮度

④ドゥミ・ポワントの高さと強さ

⑤甲の高さ

⑥上体の引き上げ度

 以上のような身体的条件を備えた生徒は、日本にはごくわずかしかいないでしょう。また、すべてのバレエ教室にいるわけではないと思いますが、日本のバレエ教室でのポワント・レッスンの開始時期はまちまちで、一体何を基準にポワントを履かせているのか?、非常に多くの疑問を感じています。

 私が考える、日本の子供たちが「ポワントを履くための最低条件」は、次のようなものです。

①ドゥミ・ポワントができる。

②アキレス腱のストレッチができる。

③上体の引き上げ、腰を締めることができる。

④膝の後ろ側のストレッチができる。

⑤ルルヴェでのルチレ、または、クッペでのバランスがふらつかない。

⑥内ももの引き上げができる。

 ポワントは膝から下の部分に全ての体重がかかるので、足にかかる負担は想像以上に大きいのです。

最近、日本では、ポワントを11歳以下の若年で開始すると問題がある、という意見も聞かれますが、私は、年齢が問題なのではなく、上記のような条件さえ満たしていれば、9歳くらいからポワントを履かせても良いのではないかと考えています。

 それよりも、足首も伸びず、ひざも曲がり、腰が落ち、背中を丸めて立っているような子供にポワントを履かせ、舞台に立たせて、ピルエットやポワントでのアラベスクをさせる教師の指導に大きな問題があると私は考えます。

ポワント選びはとても大事です

 足に合ったポワントを選ぶことはとても難しく、また、時間のかかるものです。ですから、生徒のポワント選びは教師の大切な仕事だと私は思っています。 

 しかし、教師自身がプロのバレエダンサーとしての舞台経験がなく、ポワントを十分履きこなしたことがなければ、ポワント・レッスンの指導をすることはもちろん、ポワント選びのアドバイスもできません。そして、生徒のポワント選びをアドバイス本に任せることになってしまいます。

 バレエショップのシューフィッターも、バレエを熟知し、ポワントの専門的知識を持った人はとても少ないのが現状です。ましてや、フィッターはポワントを履く生徒本人の足の特徴を知っているわけではありません。足の形は一人ひとり違いますし、生徒が普段どのように立っているか、バランスや癖というのは、レッスンを指導している教師にしかわかりませんので、ポワント選びのアドバイスは教師がきちんとするべきだと思います。

 私は、初めてポワントを履く生徒には、足に合うものが見つかるまで、何度でもショップに行き、生徒と一緒にポワントを選びます。ポワントをより安全で快適に履かせるためには教師として避けて通れない仕事です。

 さて、それでは、どのようにポワントを選んだらよいかをお話ししましょう。

ポワント選びのコツ

 ポワントは足の状態で選び方が大きく変わります。

①ポワントは足がむくんでいる午後3時以降に買いましょう。

②サイズは、普段履いている靴よりも少し小さいサイズを目安にしましょう。かかとの深さは、床とアキレス腱の1/2の深さになるサイズを選びます。バレエショップのフィッターはトゥ・パッドを付けることを計算して大きめのサイズを勧めますが、ポワントは履いているうちにポワント部分が柔らかくなり、立った時に足がポワントの先の方に沈みます。そうすると、かかとの部分にすき間ができ、そのゆるみがマメの原因になります。ですから、トゥ・パッドなしで、ポワントで立ってジャストフィットするものを選びましょう

③ポアントの履き初めは、ソール(靴の裏)が柔らかめでヴァンプ(トゥの先)が深めのものを選びましょう。ブランドによっては、すぐにつぶれてしまうものもありますが、ポワントに慣れていない足でプロが履くような固めの靴を履きこなすのは大変です。最初は柔らかめの靴で、特に、ドゥミ・ポワントからポワントまでの立ち方をしっかり練習してください。ある程度コツがつかめてきたら、足の強さに合ったものに替えていきましょう。ヴァンプの深さも順次替えていきます。ポワント部分も、履き初めは安定感のある直径の大きなもの、そして、慣れてきたら、少しずつ細くして自分の好みの直径のものを試して、履きやすい、踊りやすいものを探してください。ポワント選びは長い時間をかけていろいろなブランドの様々なモデルを試して履いて、自分の足に合ったものを探すことが大切です。

ポワントの履き初めは、トゥ・パッドの使用はできるだけしないようにしましょうポワントはバレエシューズに比べ、靴の裏が厚く、足裏と床との密着度を感じにくく安定感に欠けます。バレエは足先の感覚がとても大切です。ただでさえ、ポワントの慣れない足にトゥ・パッドの厚みで、足先の感覚が鈍ります。できるだけ薄く、滑りがよく、足裏の感覚を鈍らせないものをトゥ・パッドの代わりに使うことをおすすめします。私が生徒たちによくすすめているのは、ナイロン・ストッキングを切ったものです。古くなったストッキングを25~30cmくらいに切り、足先に直接巻きつけます。この方法はマメができたところやマメができそうなところをストッキングの巻き加減、重ね加減でカバーでき、とても便利です。ポワントが十分に履きこなせるようになったら、トゥ・パッドを使ってみるのもいいと思います。自分の足に合った厚みのものを選ぶように注意してください。

ポワントにマメはつきもの

 ポワントを履くようになるとマメができます。トゥ・パッドはその厚みで、マメができにくくしてくれますが、ポワントを履き始めたら、マメは避けて通れないと考えておきましょう。マメは、ポワント初歩のうちに何度か作って、足の指の皮を硬くしてしまっておくと、ポワントのレベルが向上したときに、マメで苦しむことが少なくなります。

①マメができてしまったら、水ぶくれになったものをつぶしたり、皮をはがしたりせず、消毒と乾燥をこころがけましょう。

②マメのほかにもいろいろな足のトラブルが出てきます。爪は伸ばしすぎや深爪にならないように気をつけましょう。また、爪を切った後は、角がないようにヤスリで角を丸く削っておくことを忘れずに。巻き爪の人は、爪周囲の炎症が起こりやすくなります。ポワントによってつま先に体重がかかるのが原因です。爪を短くきりすぎないように、また、指先を清潔に保つことを心がけてください。爪の周りが炎症を起こす場合は、医師の診断を受けた方がいいでしょう。

バレエによる外反母趾の主な原因は、初歩での立ち方にあります。足の小指からかかとのラインが、きちんと床に密着せずに親指側に体重がかかりすぎると、外反母趾になりやすくなります。この症状が出ている足でのポワント・レッスンはかなりの痛みを伴いますので、バレエシューズでの正しい立ち方を身につけておきましょう。そして、ポワントの初歩段階でも、ポワントでの正しい立ち方、軸足の作り方をいつも心がけてください。すでに外反母趾になっている場合は、指の間に進行を食い止めるパッドを挟んで就寝したり、外反母趾のサポートテープなどを使うなどして、対処しましょう。また、外反母趾の痛みを避けるために、幅の広いポワントを選ぶと、靴の中で足の遊びができ、症状の悪化の原因になります。

ポワントの手入れ

 最後に、リボンとゴムのつけ方を説明します。

①先端を45度にカットし、リボンの真ん中がくるぶしの下辺りにくるように付けましょう。かかとが脱げにくくなります。リボンは、斜め前方向に倒して付けることで、生地のバイアス方向の伸縮性が出て足首になじみやすくなります。また、かかとの中心の縫い目から左右1cmずつ離してゴムを付け、足首に掛かるようにすると脱げにくくなります。

②レッスンのあとは、風通しのよいところにポワントを下げ、十分に乾燥させるようにしましょう。 使用後は、ビニール袋などに入れず、通気性のよい布製の袋に入れて保管しましょう。

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スタジオの主宰者で元モスクワ・バレエ・アカデミー教師の中川三千代がワガノワ・メソッドの基本を分かりやすく解説しています。正しいワガノワ・メソッドの基礎が身に付いているかどうか、この動画で判断してください。

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